近年は日本語対応するネットカジノが増えてきました。しかしネットカジノのユーザー数の増加とともに懸念されているのがネットカジノの違法性です。この記事ではネットカジノの運営や海外 ギャンブル利用の違法性について考察します。
ネットカジノの運営に関する違法性
ネットカジノはすべての業者が合法的に運営しているとは限りません。中には違法な運営をしている業者もあるので、どのネットカジノを利用するかは注意深く検討すべきです。
ネットカジノ合法の国でライセンスを取得すれば運営の違法性はない
公的な政府によるライセンス承認を受けて運営しているネットカジノならば、違法性はありません。ライセンスを取得しているか否かは、公式サイトの下部あたりに表示されるライセンスアイコンから確認できます。
ネットカジノの運営ライセンスを発行している国は多数ありますが、日本語に対応しているオンラインカジノのほとんどはオランダ領キュラソー政府発行のライセンスを取得しています。その他、マルタやジブラルタルのライセンスを取得しているネットカジノもあります。
特にマルタやジブラルタルのライセンスは取得難易度が高いことで知られています。つまりそれらの国のライセンス承認を受けているネットカジノならば、単に合法的に運営されているにとどまらず信頼性も高いということです。ネットカジノでアカウント登録をする際は、必ずライセンスの有無をチェックしておきましょう。
ライセンスのあるネットカジノも突然閉鎖のリスクはある
ライセンスを取得しているネットカジノの運営自体は合法であるものの、ある日突然夜逃げのような形で閉鎖するリスクがあります。例えば2021年には横綱カジノ、マネキャッシュなどが突然サイトを閉鎖したことで話題となりました。
いずれも取得していたライセンスはオランダ領キュラソー島のライセンスです。オランダ領キュラソー島のライセンスはベラジョンカジノやインターカジノなど大手カジノも取得していますが、夜逃げのような事例も相次いだことから少し信頼性が低いと言われています。
逆にマルタ共和国のライセンスを取得しているネットカジノは、閉鎖することはあっても夜逃げのようなことはありません。事前に閉鎖日を告知し、出金対応などもした上で閉鎖します。万が一閉鎖したときもユーザーの資金が返金されるという安心感を踏まえると、やはりマルタ共和国のライセンスを取得しているネットカジノは信頼性が高いと言えるでしょう。
賭博が禁じられている国・地域に運営会社があれば違法
公的なライセンスを取得していても、賭博が禁止されている国や地域に運営会社がある場合には違法な運営と見なされます。例えば日本は賭博が違法です。つまり日本の企業が運営しているネットカジノがあるとすれば、100%違法と見なされます。
また2022年の12月には台湾でエルドアカジノやユースカジノの運営に関わっていた会社が摘発されたことでも話題となりました。運営会社が台湾にあったわけではないのですが、関連する会社が賭博罪で摘発されたという事例です。
賭博が違法とされている国や地域にある会社が運営しているネットカジノで賭けた場合、賭博罪に問われて逮捕されるリスクも十分に考えられます。したがってネットカジノに登録する際は、運営会社がどの国に拠点を置いているのか必ずチェックしておきましょう。
インカジは100%違法な運営なので要注意
ネットカジノをプレイできる環境を整えているインカジは100%違法です。毎週のように店舗型カジノが摘発されたという報道がなされていることからも、インカジが違法な運営であることは容易にイメージできるでしょう。
インカジは雑居ビルの一室などに店舗を構えています。運営者側も違法であることは認識しているので、短期間のうちに転々としているのが通例です。インカジを利用すると現行犯でなくても証拠が残っていれば逮捕される可能性もあるので、絶対に入店
ネットカジノを日本人が利用することに違法性はある?
ネットカジノを日本人が利用することに関しては「違法だ」という声もあれば「違法性がない」という声もあります。両極端な意見があることからも分かるように、明確に違法とも合法とも言えないのが現状です。
具体的にネットカジノを日本人が利用することの違法性や逮捕されるリスクなどについて考察します。
刑法の賭博罪は胴元と利用者の同時摘発が原則と言われている
そもそも刑法の賭博罪は、胴元(運営者)の検挙を目的にしていて、運営者と利用者を同時に摘発することが原則であると言われています。賭博法自体がインターネットが発明される前にできた法律なので、ネットカジノのようなケースを想定していないのです。
しかし上述した通り、合法運営のネットカジノならば会社は海外に拠点があります。日本の刑法は日本国内でしか有効ではないため、海外にあるネットカジノ運営会社を日本の法律で摘発することはできません。
プレイヤーが国内にいて、運営が海外にある場合、現行の法律でプレイヤーを賭博罪で有罪にする事はできるのか、という事が論点となっていて、明確な答えが出ていない状態です。それ故にネットカジノはグレーゾーンと言われています。
2022年以降はネットカジノの違法性を問う声が増えつつある
2022年はネットカジノの違法性が大きく議論される1年となりました。契機となったのは4月に山口県阿武町で新型コロナ給付金4630万円の誤振込を受けた田口翔容疑者が、全額ネットカジノに入金したことで逮捕されたという事件です。
その後6月には岸田首相が国会で「ネットカジノは違法だ」と発言、さらに10月には警察庁と消費者庁が「ネットカジノ(オンラインカジノ)は犯罪」という啓発を行うようにもなりました。
さらに年末にはNHKのクローズアップ現代で「ネットカジノの闇」が特集されるなど、ネットカジノの違法性を問う声は増えつつあります。
ネットカジノ利用者が裁判で有罪になった事例はない
ネットカジノの違法性を問う声が増えつつある一方で、ネットカジノ利用者が裁判で有罪となった事例はこれまでにないという事実もあります。
正確に言えば2016年にスマートライブカジノというネットカジノを利用した日本人3名が逮捕されたという事例がありましたが、そのうち1人は弁護士をつけて裁判で争う姿勢を見せた結果、最終的には不起訴処分を勝ち取っています。不起訴処分になったということは、法的には罰せられないと認められたと解釈する事もできます。
その後はネットカジノユーザーの賭博罪による逮捕者は出ていません。上述した田口翔容疑者も、賭博罪ではなく別の罪状(電子計算機等使用詐欺罪)で逮捕されています。
しかし逮捕者が出ていないことは、ネットカジノの利用が合法であるという根拠にはなりません。
警察にとってネットカジノの利用者の摘発はハードルが高い
ネットカジノの利用者が逮捕されていないのは、そもそも警察が逮捕するためのハードルが高いという理由もあります。というのも逮捕するには、現行犯を除くと原則として令状の発行が必要になるためです。
警察が令状を発行してもらうためには根拠をしっかりと集める必要があります。しかしネットカジノの運営会社は海外に拠点を置いているので、簡単に証拠を集められるわけではありません。運営会社からユーザーのベット記録や入出金記録などの情報を得られない以上は、警察としても「この人物はネットカジノで賭博を行っている」とは断言できなくなります。
また警察組織の人数も無限ではありません。限られたリソースの中で様々な事件や社会課題に対応する必要があるため、その他重大事案に比べるとネットカジノの摘発はどうしても後回しになっているという実情もあるようです。
だからこそ「ネットカジノは犯罪」という啓発をしつつも、ユーザーの逮捕に踏み切れていない状況が続いています。
ネットカジノの利用が完全に合法というわけではない点に注意
ネットカジノのユーザーが逮捕された事例はなく、さらに警察にとっても逮捕のハードルが高いと解説しました。しかしネットカジノでの遊技は海外のサーバーを経由しているとしても、賭博行為であることに違いはありません。
公営ギャンブルのように法的に賭博が認められていない以上、ネットカジノで賭けを行うことには違法性があるということも十分理解しておく必要があります。「日本人がネットカジノを利用することに違法性はない」と断言するサイトもありますが、100%間違いなので勘違いしないように注意してください。
そもそも日本ではなぜネットカジノが違法と言われている?
ネットカジノが違法と言われるのは、刑法により賭博行為が禁じられているためです。しかし公営ギャンブルのように、ギャンブルの種類によっては違法でないものもあります。
ネットカジノを管轄する省庁がないため
ネットカジノは公営ギャンブルとは違って、管轄する省庁がありません。各公営ギャンブルは以下の通り管轄省庁があります。
- 競馬:農林水産省
- 宝くじ:総務省
- 競輪:経済産業省
- オートレース:経済産業省
- ボートレース:国土交通省
各省庁は公営ギャンブルにそれぞれ利権があるということです。つまり仮にネットカジノが認められると、公営ギャンブルのユーザーが減少することが予想されます。すると公営ギャンブルの規模縮小、予算の減額、退職後の天下り先企業の減少といった事態に繋がりかねません。
パチンコ・パチスロからプレイヤーが流出するのを防止したいため
パチンコとパチスロはギャンブルではなく風俗業(娯楽)の1つですが、実態としては準公営ギャンブルと言われています。そしてパチンコ、パチスロを管轄しているのは警察庁です。
警察庁としてはパチンコ、パチスロの利用者が減少することを危惧しているため、ネットカジノの利用が違法であるというプロモーションをしているとも考えられます。
ギャンブル依存症を防ぐため
ネットカジノや賭博が違法とされる理由としては、ギャンブル依存症を予防したいという点もあります。仮に賭博が完全に解禁された場合はギャンブル依存症患者が増え、以下のようなデメリットが波及的に発生すると懸念されています。
- 多重債務者の増加
- 治安の悪化
- 破産申請の増加
- 精神病の治療費増加(公費負担額の増加=財政圧迫)
もちろん賭博産業からの経済効果も期待できますが、やはりデメリットもあると言わざるを得ません。
しかしネットカジノとしてもユーザーがギャンブル依存症に陥らないように、様々な対策を施しています。例えばユーザー自身で期間あたりの入金額を制限したり、プレイ時間を制限したりすることが可能です。またネットカジノ各社は以下のような専門機関と連携を取り、ユーザーの好きな時にギャンブル依存症に関する不安や悩みを相談できる体制を整えています。
- Gam Stop
- Problem Gambling Support
- Gambling Therapy
- Be Gamble Aware
- Gordon Moody
- Gamblers Anonymous
しかし相談窓口があるからと言って必ずギャンブル依存症を防止できるわけではありません。特にギャンブル中はドーパミンがどんどん放出されることで理性を失い、無謀な賭けに走ってしまうという事例も見られます。
したがってネットカジノを利用する以上は、余裕資金しか入金しない、プレイする時間を予め決めておくなど、自分自身で対策し、あくまで娯楽として楽しむ範囲で利用することが重要です。
ネットカジノの利用方法に要注意
ネットカジノを利用する上で、特に気を付けたい点を紹介します。以下のような行為は法律違反、またはネットカジノの規約違反となりますので注意しましょう。
不当に得た資金をネットカジノに入金する
詐欺で得た資金、拾った資金、第三者のクレジットカードなど、不当に得た資金を自分のネットカジノアカウントに入金することは犯罪です。
山口県阿武町の田口翔容疑者が逮捕されたのも、賭博罪ではなく不当に得た資金をネットカジノに入金した電子計算機等使用詐欺罪でした。したがってネットカジノに入金する際は、必ず自分自身の資金を利用するようにしてください。
ネットカジノの規約でも自分名義以外の口座やクレジットカードからの入金は禁止されています。
年額50万円以上稼いでいるのに申告納税をしない
ネットカジノで稼いだ利益は「一時所得」になります。1年間で50万円以上稼いでいる場合には、所得税の確定申告、そして納税をしなければなりません。
50万円以上の利益を稼いだのに申告納税を怠ると、所得隠しや脱税により処罰を受ける可能性があります。
会社員の場合は、年間の一時所得の利益が90万円以下であれば確定申告は必要ありません。
特に公務員やサラリーマンの場合は確定申告をしたことがないという人も多いと思いますが、ネットカジノを利用する以上は確定申告をする必要があることも必ず頭に入れおきましょう。
第三者とアカウントの貸し借りをしている
自分のアカウントを第三者に貸したり、また第三者のアカウントを借りてネットカジノでプレイした場合は、貸主が胴元、借主が利用者と見なされる可能性があります。アカウントを貸し借りするということは、インカジを経営したり、インカジに入店したりすることとほぼ同じです。
必ず自分名義で登録したアカウントを自分自身で利用することを心がけてください。